腹式呼吸をやめる その2

皆さん、ごきげんいかがでしょうか?
声の悩み解消のスペシャリスト、ボイスカルチャー加藤寛理(@hirorisan)です。

前回に引き続き、腹式呼吸についてのお話です。

前回の記事

腹式呼吸をやめる その1
息が必要以上に漏れる理由と検証

発声において、腹式呼吸を用いるべきではない理由は次の通りです。

  • 息が必要以上に漏れる
  • 声門下圧が高くなり、声帯筋のコントロールが難しくなる
  • 呼吸筋の動きは、声帯の振動の速度についていけない
  • 声帯周りの筋肉をきっちりコントロールできるようになれば、呼吸は自動的に行われる
  • そもそも精神世界で用いるためのもの

今回は、2番目の

”声門下圧が高くなると声帯筋のコントロールが難しくなる”

について記事を書いていきます。

読んでもらいたい人は、次の方々です。

読んでもらいたい人
  • 現在、養成所に通っている生徒
  • 現場に出ているものの、声の悩みが尽きないプレイヤー
  • 発声を教えている講師

声門下圧が高くなり、声帯筋のコントロールが難しくなる

まず、声門下圧について説明します。

声門下圧(subglottic pressure)とは、肺からの吐く息(呼気)と声帯との間に生まれる力のこと。声帯を振動させようとする力に比例する。 たくさん息を吐く、もしくは声門抵抗を上げる(声帯を強く閉鎖させる)ことで大きくなる。

現代版の腹式呼吸は、たくさん吸ってたくさん吐けなので、
声門下圧が強制的に上がります。

よって、呼気が少ない人、声門の抵抗が弱い人など、一部の人には効果を感じられます。

しかし、呼気が増大するということは、必要以上に声帯に息が当たる結果となります。

その代償として、声帯筋の緻密なコントロールが難しくなります

これは、そよ風の中でダンスをするのと、台風の中でダンスするの、どちらがより自由にパフォーマンスを発揮できるかに似ているように感じます。

そして、声門下圧が高くなることで、声帯や呼吸器官の動きが不自然になり、柔軟性や機敏性に欠けてしまうのです。

そう、呼吸は本来、自動的に行われているものなので、呼気量を意図的に増やすと、統制の取れている器官のバランスが崩れてしまうのです。

ひどい場合、呼吸器官への過剰な負荷が原因で、疾患になるリスクもあります。

効果を感じる方への代案

効果を感じる方として、

呼気増大による効果を感じる人の特徴
  • 呼気量が少ない方
  • 声門の抵抗が苦手な方

の2つを挙げさせていただきましたが、それぞれについて少し補足をします。

呼気量が少ない方

呼吸は、しないと死ぬものなので、通常、息が吸えない・吐けないということはあり得ません。

多くの場合、心因性の何かが原因となります。

もちろん、物理的に出しやすくする方法はありますが、根本的な原因を解消しない限り、付け焼き刃です。

心因性の何かは、同じ症状でも人によって全く異なるので、カウンセリングが必要になると思います。

声門の抵抗が苦手な方

そもそも、声帯筋は抵抗が苦手です。

なぜなら、ヒダが呼気と同じ方向に向いているからです。

閉鎖筋群を鍛えるのも悪くありませんが、声帯の上部に位置する仮声帯が、呼気の方向と逆の向きにあるため、抵抗を得意としています。

仮声帯を用いる発声(ガムなど)を行うことで、抵抗の感覚を掴むことが可能です。

今回のお話は、以下の動画の解説として行っています。
まだご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。

次回は、呼吸筋の動きは、声帯の振動の速度についていけないについてお話しします。

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