腹式呼吸をやめる その1

皆さん、ごきげんいかがでしょうか?
声の悩み解消のスペシャリスト、ボイスカルチャー加藤寛理(@hirorisan)です。 

養成所などへ通い、声の訓練をしたことがある人たちが教わること

それは、腹式呼吸

きっと、先生には、こんな風に教えられたのではないでしょうか。

腹式呼吸を身に付けることで得られるメリット
  1. 喉に力が入らない
  2. 喉が疲れない
  3. 高い音が無理なく出せる
  4. 自然と声が大きくなる
  5. 重心が下がり安定する
  6. 表現が豊かになる

発声の基礎だから、ちょっと苦しくても、きっちり身につけようと、足上げ腹筋をしたり、寝そべって声を出したり、お腹にグッと力を入れたり、お尻の穴を締めたり。

そして、養成所を卒業して10年。

仕事も任せてもらえるようになった彼ら彼女ら。

しかし、未だに声のコントロールが自由にできず、その答えもよく分からず、それはきっと自分の未熟さ故と思いながらも、ずっと頭を抱えている

…なぜでしょうか?

基礎である呼吸を身に付けたはずなのに、全然思い通りにできないのは。

全員未熟だからでしょうか?

ここである1つの可能性が浮上します。

するはずです。

でも、声の訓練をした人ほど、なぜか気づかない。

まさか、基本中の基本だと刷り込まれている腹式呼吸が間違っているなんて、思いもよらないことでしょう。

そう、腹式呼吸は、生理学・解剖学的見解からすると、非常に不自然であること。

そして、発声に用いると有害でしかないという研究結果が、もう50年以上前に結論づけられているのです。

今回から、数回に分けて、腹式呼吸はなぜ発声で用いるべきではないかの説明をします。

読んでもらいたい人
  • 現在、養成所に通っている生徒
  • 現場に出ているものの、声の悩みが尽きないプレイヤー
  • 発声を教えている講師

習得に何年もかけて必死に覚えたところで、無害どころか有害…これがもし本当なら、声の業界はどれだけの負の遺産を抱えているのでしょうか。

ぜひ最後までお読みください。

発声で腹式呼吸を用いるべきではない5つの理由

なぜ、発声で腹式呼吸をするのがいけないのでしょうか。

それは次のような理由です。

  • 息が必要以上に漏れる
  • 声門下圧が高くなり、声帯筋のコントロールが難しくなる
  • 呼吸筋の動きは、声帯の振動の速度についていけない
  • 声帯周りの筋肉をきっちりコントロールできるようになれば、呼吸は自動的に行われる
  • そもそも精神世界で用いるためのもの

今回は、息が必要以上に漏れるについてお話しします。

本来は息を節約するためだった腹式呼吸

現在教えられている腹式呼吸の起源は意外と新しく、19世紀半ばになります。

※それまで主に東洋で行われていた肚(はら)を用いた呼吸とは全く別のもです。

フランスの医師ルイス・マンドル氏が医学誌で提唱した腹式呼吸は、息を節約することを目的にしていました。

ところが、時代とともに内容が変わり、今ではたくさん吸って吐けに変わっていきます。

変わったものの、たくさん吸ってたくさん吐けは、肺の本来の働きを著しく阻害するものでした。

肺の機能

肺は、全体の1〜2割のスペースを、古い空気と新しい空気を出し入れするための作業スペースとして使用することで、滞りなく呼吸を行うことを実現します。

しかし、現在の腹式呼吸によって、息をたくさん吸うことを強要されたとき、どうなるでしょうか?

その作業スペースは失われ、空気で満タンになった肺が取れる行動はただ1つ、息を出さざるを得ない状況、即ち、漏れる状態になります。

本当に長く続ける場合、まるでお花やコーヒーの香りを嗅ぐ程度に吸って吐くのが、最も長く続くのです。

実際に僕のYouTubeチャンネルで、たくさん吸った場合と、軽く吸った場合とで、声が何秒続くかの実験を行いました。

その驚きの結果は…

多く吸ったとき 50秒
軽く吸ったとき 2分46秒

動画での出だし、声を出し始めた瞬間をご覧になれば、たくさん吸うことで、いかに声が大きく出てしまっているか、お気づきでしょうか。

次回は、声門下圧が高くなると声帯筋のコントロールが難しくなるについてお話しします。

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